各界から熊本同友会会員へ向けた熱きメッセージ
変化を恐れず、地域とともに
テレビ業界は、これまで何度も技術革新の波と対峙してきました。約30年前に衛星によるBS・CS放送が開始され、当時は地上波放送局とローカル局の存在意義が問われました。また、アナログから地上デジタル放送移行の際には、50億円超の設備投資がローカル局の経営を圧迫しました。次には、地上波での4K・8K放送が推し進められ、新たな設備投資が必要とされています。現在では、PC・スマートフォンをはじめとした様々なデバイスにより、若者のライフスタイルも大きく様変わりしました。また、コンプライアンスをはじめとした規制強化により、それまでの社会通念や個人の価値観も変化し、テレビに求められるもの、表現できるものも大きく変わってきました。「若者のテレビ離れ」が囁かれて久しく、その要因が個人のTPOへ合わせ好きな時に好きな場所で情報を得る選択肢が増えた為か、テレビのコンテンツ自体の魅力がなくなってしまった為かはわかりません。テレビの強みは、信頼の高い情報を受動的に得ることができ、その間口の広さにあると考えます。正確で迅速な情報が必要な場面で、SNSに見られる作為的な「フェイクニュース」は非常に危険であり、情報の匿名性に大きく起因していると思います。
一昨年の熊本地震の際には、当社で働く多くが放送を継続する為、不眠不休で業務を遂行してくれました。また、全国から50人を超える取材陣が応援に駆けつけ、食事も休む場所もない中、被災地の現状を県内はもとより全国へ向け発信し続けました。社会のインフラに携わる者は、それを必要とする社会、地域の人たちの為との使命感を持ち、献身的に業務に従事しなければなりません。
ローカル放送局の使命は「地域貢献」です。地域の経済・文化・産業を活性化させ、そこで暮らす人たちが健康で文化的、そして安全な生活を送る為の一助となることです。当社では6年前から熊本の地下水を、次世代に残して行くことを目的とした様々な取り組みを「水の国くまもと応援プロジェクト」として熊本県・熊本市をはじめ多くの企業や団体のご協力を頂き実施しています。
放送局は、国の認可を頂き公共の電波をお借りし放送しています。その責務は、永続的且つ安定した放送を継続していくことです。そのためには、盤石な経営基盤を築かなければなりません。テレビ業界を取り巻く環境は、加速しながら変化しています。それに対応すべく、放送以外での収益スキームを見出さなければなりません。新たな事業を展開するに当たっては、その事業が地域にとって必要なものであり貢献できるものか、また当社がその事業において必要な役割を果たせるものかが決定に至る不可欠な要因となります。
如何なる企業であっても永遠に変わらずにいることは出来ません。普遍的であるためには、時代とともに変化していかねばなりません。現代では停滞することは、後退と同義だからです。変化を恐れず、常に決定の根幹にはその変化が地域・そこに生活する人たちにとって意義のあることかを考えねばなりません。
来年1月から当社は開局50周年の期間となります。ローカル局は地域に育てられ、今日まで多くのご支援とご協力を頂いてきました。50年間の感謝を込めて、県民の方々へ恩返しできる最大の機会にしたいと考えています。常に地域への貢献を考え、地域の方へ寄り添い、10年、20年先の将来を地域経済を支える会員の皆様とともに考えていきたいと思います。
2018年8月号掲載
株式会社テレビ熊本
代表取締役社長
河津 延雄
昭和30年11月、熊本県小国町生まれ。昭和53年4月㈱テレビ熊本入社(制作局報道制作部)。昭和57年3月経営管理室経理部、平成6年6月東京支社営業部主事、平成13年3月事業局販促事業部長、平成19年5月総務局長、平成25年6月取締役総務局長兼総務部長、平成28年6月代表取締役社長就任、現在に至る。
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