各界から熊本同友会会員へ向けた熱きメッセージ
変化をチャンスに
熊本県商工観光労働部商工労働局長の田中でございます。中小企業家同友会会員の皆様方にはかねてよりご縁を頂いておりましたが、改めてよろしくお願い申し上げます。
去る3月11日に発生した東日本大震災は、東北地方を中心に未曾有の被害をもたらしました。自然の力のすさまじさをまざまざと見せつけられた感がします。犠牲となられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。
この大震災はまさに国難であり、このような時こそ日本がひとつになって「がんばろう日本」の思いを胸に、みんなで被災地の復旧・復興に向けた支援をしていく必要があります。
また、被災地からの素材製品や部品の供給が滞ったことによるサプライチェーンの寸断や海外からの観光客の減少など、本県経済への影響も生じております。県としましても、大震災の影響を受けた県内中小企業者への融資制度の拡充などの支援を実施しており、今後とも県経済が停滞することがないよう、様々な対策に取り組んで参りたいと考えております。
本来ですと、リーマンショックの傷も癒え、日本経済の本格回復が期待されておりましたが、残念ながらそうはいかなくなってしまいました。大震災が残した大きな爪跡や電力不足による経済への影響が懸念されており、日本経済の先行きは不透明で予断を許さない状況にありますが、大切なことは、今後この影響を最小限に抑え、そして力強く立ち上がっていくことです。
蒲島知事は「景気は期待から動く」とよく言われますが、このような時であるからこそマインドが大事であり、ポジティブに考え夢を持って行動することが大切です。
さて、今回の大震災により、国内の経済活動に様々な変化・変革が起こることが予想されます。大企業といえどもリスク分散の観点から工場などの事業活動拠点の分散配置や生産方式の再検討など、経営戦略の見直しを余儀なくされておりますし、原発の安全性の検証を踏まえたエネルギー政策の転換や成長戦略も見直されます。さらには、私たち国民生活のあり方、ライフスタイルそのものも考え直すことにもなります。
また、熊本には九州新幹線の全線開業という大きな変化がありました。開業前日に大震災が発生し少々出鼻をくじかれた面もありますが、百年に一度と言われる新幹線開業効果をどのように最大化していくか、これから県民総参加のもとで取り組んでいくべき重要なテーマです。
「変化や変革はビジネスチャンスをもたらす」と言われます。すでに起こっている変化やこれから起こる変化・変革を的確にとらえ、今後の事業経営に活かしていただきたいと思います。ポジティブに夢を持って「変化をチャンスに」していきましょう。
末筆ながら、これまでの中小企業家同友会の皆様の積極的な活動には、いつも熱気と熱意を感じております。経済情勢も厳しく先行き不透明ななか、皆様の経営の舵取りも難しい状況にありますが、このような時こそ、お互いに協力し信頼できる「仲間の輪」を拡大し、この難局を乗り切っていただきたいと思います。これからのさらなるご発展を期待いたします。
2011年8月号掲載
熊本県商工観光労働部 商工労働局長
田中 伸也
昭和29年8月13日生まれ、荒尾市出身昭和52年3月九州大学法学部卒業、同4月熊本県庁入庁、 平成15年4月東京事務所次長、同17年4月商工観光労働部産業支援課長、同19年4月(財)くまもとテクノ産業財団事務局長、 同22年4月商工観光労働部商工労働局長
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