各界から熊本同友会会員へ向けた熱きメッセージ
地域における課題の現状
担当する南九州4県(熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県)に着任ご挨拶をさせて頂いてきておりますが、その際、自治体や企業の方々から、いろいろ課題を伺っております。その内容は、多々ございますが、特に頻繁にお聞きした事項を紹介いたします。自治体の方々からは、少子高齢化人口減少を背景とした地域活性化への懸念という課題、企業の方々からは、人手・人材不足という課題でございます。これら二つの課題の解決に向けて、最近各地で少しずつ出てきている新しい動きをご紹介いたします。
まず、地域の活性化につきましては、結局は、その担い手となる民間の人材をどう発掘し、どう活躍してもらうか。まずは、「ひと」の発掘については、自治体が、地元の実業の精通者(例えば地元金融機関)と連携し、有望な方々を複数見出す。そして、これらの方々が、例えば、土曜日の午後に集まり自由に意見交換を行う、自治体は、そのための環境を整える。こういった方策が出てきております。
続いて、二つ目の課題、企業の人手・人材不足につきましては、人の「シェア」ということが方策の一つとして出てきております。従来の仕事の形態のような、一人の人が一つの企業で働くという形に加え、兼業・副業を通じて、一人の人が複数の企業に関わるということです。これによって、人のとりあいとならないようにする。これについては、副業・兼業をやりたい人、やってもらいたい企業のマッチング、企業の仕事のどの部分を副業・兼業に切り分けるかの工夫などが必要となります。
次に消費税率の引上げについてでございます。
我が国は高齢化で社会保障給付が膨らみ、その一方で国の予算の約3分の1を借金で補っている状況です。つまり、医療や介護などのかなりの部分を将来世代の負担で毎年賄っているところです。このため、将来世代へのつけ回しを減らすとともに制度も改革し、安定した社会保障制度を次の世代に引き継いでいくことが重要なのです。今回の消費税率引上げによる増収分は全て社会保障に充て、高齢者中心だった施策は幼児教育や高等教育の無償化など子育て支援を含む全世代型の社会保障制度へ転換します。
また、今回は日々の生活への影響を緩和するため、食料品等に対して軽減税率制度を導入し、前回8%に引上げた時は増税後の消費の落ち込みからの回復に時間がかかったことを踏まえ、政府としては駆け込み需要や反動減をできるだけ小さくするようにキャッシュレス決済時のポイント還元、自動車や住宅など高額商品の税制優遇・補助等、2.3兆円規模の対策を講じています。
2019年10・11月号掲載
九州財務局長
大津 俊哉
1989年4月大蔵省入省。2010年7月金融庁証券取引等監視委員会事務局市場分析審査課長。14年7月財務省理財局財政投融資総括課長。15年7月大臣官房政策金融課長、16年6月東京国税局総務部長。17年7月内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局参事官などを経て、19年7月から現職。
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