各界から熊本同友会会員へ向けた熱きメッセージ
地域が主役となった
新たなまちづくり活動の展開を目指して
この原稿を書いている現在、国内においては第4波となる新型コロナウイルスが猛威を振るい、本市においても感染者が急増し、医療提供体制はひっ迫した状況となっています。そのため、自治会活動をはじめとする地域コミュニティ活動は概ね自粛を余儀なくされています。
さて、このような状況ではありますが、今年度は、本市が指定都市へ移行し、5つの区が設置されて10年目の節目の年となります。この間、南区は、熊本地震により甚大な被害を受けましたが、復旧・復興も着実に進み、市内で最も人口が増加した行政区となっています。また、平成28年に開業した西熊本駅をはじめとする富合駅、川尻駅など公共交通の拠点も複数存在するなど、更なる発展の可能性を秘めた地域であると言えます。
しかしながら、人口減少・超高齢化社会は、地域によって程度の差はあるものの着実に進行し、それらに伴う諸課題も徐々に顕在化しています。
具体的には、人口減少地域におけるスーパーの閉店や、公共交通不便地域における高齢者の通院等の移動手段の確保の問題、朝夕の通勤時間帯における幹線道路の渋滞の深刻化、空き家の増加などです。
本市では、平成29年度にまちづくりセンターの設置と地域コミュニティの活性化等を支援する地域担当職員を配置し、地域の抱える課題やニーズを拾い上げ、区役所と本庁の担当部署が連携して解決する仕組みづくりを整えることが出来ました。
しかしながら、持続可能な地域コミュニティを維持していくためには、こうした取組に加え、今後は、地域住民自らが10年先、20年先を見据えた地域のあるべき姿を考え、その実現に向けて住民・企業・行政が一体となった新たな地域活動が求められていると考えています。
そこで、行政としてもこうした活動を支援するために、本年度は、小学校区単位の人口推移や空き家件数、医療機関や介護施設の状況、土地の利用状況、路線ごとのバスの便数などのデータを集めた「校区未来カルテ」を作成し、地域の方々にお示しする予定です。地域と行政が将来的な課題認識を共有することで、企業や大学、若い世代も含めた多様な人々が参加する新たなまちづくり活動のきっかけになるものと考えています。
また、こうした活動の結果得られた住民合意については、本市の中長期的な政策に反映する仕組みづくりを検討するとともに、まちづくりや地域おこしに関するノウハウを持つ人材の育成にも努めてまいります。
こうした新たな取り組みによって、本市の基本理念である地域力、市民力、行政力の相乗効果による地域主義に基づいた「上質な生活都市」を目指してまいります。
2021年7月号掲載
熊本市南区長
江 幸博
昭和40年10月22日 生
昭和63年 入庁
平成26年 子ども支援課副課長 兼
行政経営課審議員
平成27年 子ども支援課長
平成28年 生活再建支援課長
平成29年 政策企画課長
平成31年 政策局総合政策部長
令和 3年 南区長
最新の特集記事
持続的な自主自立の
まちづくりに向けて
熊本市西区長 石坂 強
本年4月より、熊本市西区長に就任いたしました石坂と申します。 貴会をはじめ会員の皆様方には、日頃から西区のまちづくりへ...
社会変化に伴う
行政書士の目線
熊本県行政書士会会長 櫻田 直己
この度「会員中小企業家に向けての提言」というテーマで執筆させていただくにあたり、私達行政書士について説明いたします。 ...
助成金を活用した
賃上げのすすめ
厚生労働省 熊本労働局 局長 金成 真一
人手不足が進む中、「賃上げ」や「省人化投資」を考えている企業の方は多いと思います。 人口を年齢階級別に見れば、若年者は高...