熊本県中小企業家同友会

特集

各界からの提言

各界から熊本同友会会員へ向けた熱きメッセージ

弁護士・弁護士会は、中小企業経営者にとってどのような存在か?

いきなりで恐縮ですが、弁護士・弁護士会は、中小企業経営者の皆様方にとっては、どのような存在でしょうか。ほとんど必要性が認められない、自分たちとは無縁の存在でしょうか。


私の手許に、日本弁護士連合会(以下、日弁連といいます。)とみずほ総合研究所株式会社が2008年3月に調査した「中小企業の弁護士ニーズ全国調査報告書」があります。これは、東京商工リサーチの企業データベースの中から中小企業基本法に定められている中小企業で東京地域3000社(回答率18.9%、回答567社)、東京以外12,450社(回答率21.3%、回答2,647社)を対象とした調査報告書で、その中には熊本県の中小企業も何社か含まれています。


この調査報告書によれば、弁護士の利用経験は訴訟や調停などの法的手続のみの利用者を含めても中小企業の51.8%、弁護士を利用したことがないとする回答は47.7%であり、その理由の一番多いのは「特に弁護士に相談するべき事項がないから」(74.8% )、次に「弁護士以外への相談で事足りているから」(21.9% )、「日頃、あまり接点がなく頼みにくい」(13.6% )、「費用が掛かる、費用が高いから」(15.7% )と続きます。他方で、中小企業にとっての法的課題として認識されている事項をみると、債権回収(40.6% )、雇用問題(27.2% )、クレーム対策(25.3% )、契約書のリーガルチェック(19.2% )、事業承継・相続対策(18.8% )等となっています。一方、顧問弁護士・相談できる弁護士がいない中小企業の割合は61.5%、顧問弁護士がいる(19.5% )、顧問弁護士はいないが相談できる弁護士がいる(16.2% )となっています。


この調査結果から見る限り、中小企業経営者はいろいろな法的課題を認識しているにも拘わらず、弁護士を利用したことは多くなく、弁護士の必要性をあまり感じていないように思われます。もちろん、その原因はいろいろ考えられますが、私は、弁護士・弁護士会の中小企業経営者に対する弁護士業務の広報がこれまで十分にされてこなかったこと及び弁護士の中小企業経営に関する理解不足等から、弁護士・弁護士会に対する敷居が高いという意識が一向に解消されず、敬遠されているのではないかと考えています。


日弁連は、2009年11月、法的側面で中小企業を支援し、広範な分野で弁護士による法的サービスの利用促進と組織的・全国的なサービス提供を整備することを目的として「日弁連中小企業法律支援センター」を設立し、中小企業のニーズへの対応を徹底的に追求すること、弁護士へのアクセス障害を解消すること等を基本活動方針として、各地の弁護士会と連携して中小企業を法的に支援することにしました。熊本県弁護士会でも「中小企業法律支援センター委員会」を設置して、県内の中小企業経営者の皆様方に対する法律支援活動を開始しています。


本年度は、「より開かれた・身近で信頼される弁護士・弁護士会」を活動方針の一つとして掲げ、弁護士会からの積極的な情報発信や中小企業経営者の皆様方との積極的な交流・連携を図ることにより、皆様方にとって利用しやすい弁護士・弁護士会を少しでも実現したいと考えています。 


2013年6月号掲載

熊本県弁護士会 会長 弁護士 衛藤二男

熊本県弁護士会 弁護士
衛藤 二男

昭和27年11月3日、大分県竹田市(旧直入郡荻町)で生まれ。
防衛大学校中退、中央大学法学部卒業、
平成2年4月弁護士開業(東京弁護士会)7年4月熊本県弁護士会へ登録替え、18年度熊本県弁護士会副会長。
熊本県労働委員会公益委員、年金記録確認熊本第三者委員会委員長等を歴任。
現在、熊本県個人情報保護制度審議会会長、菊池市情報公開審査会審査委員、熊本県国保連合会介護サービス苦情処理委員会代表委員、25年4月より熊本県弁護士会会長

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