各界から熊本同友会会員へ向けた熱きメッセージ
政府の高齢者就業促進策とシルバー人材センター
熊本地震から早1年が経過しました。この誌上をもちまして、熊本地震で被災されたすべての方々に対してお見舞いを申し上げます。これからの復旧・復興に向けては、できうる限りのことを続けていきたいと改めて考えております。
今回は、シルバー人材センターについてのお話をする機会を頂きまして感謝申し上げます。
「庭の剪定を毎年お願いしている。」「家の草取りや草刈を依頼している。」といった直接仕事を依頼している方はもちろん、シルバー人材を表象する黄色い帽子をかぶったおじさんが駐輪場の管理をし、また熊本城の周りで仕事をしているといった光景を見かけておられるのではないでしょうか。
まず、熊本市シルバー人材センターの概要をご紹介します。
センターには約2,400人の60歳以上の会員がいて、年間約10億円(㊟)を売り上げています。業務の主な実績は、草刈・除草業務等427百万円、施設管理等310百万円、剪定業務等174百万円となっています。
このようないわゆる定番の業務の他に、ここ数年の特徴として派遣事業の拡大があります。本センターは派遣事業所として、平成28年度は対前年比185% 53百万円と実績を大きく伸ばしています。少額ではありますが、業務の範囲は飛躍的に拡大し、事務的業務を含めた多様な仕事に従事することができるようになりました。
いま、シルバー人材センターを取り巻く環境は変化してきています。
政府の一億総活躍社会を目指したニッポン一億総活躍プランでは、高齢者就業促進がテーマの一つであり、第189回国会の安倍内閣総理大臣施政方針演説(平成27年2月12日)の際、「柔軟かつ多様な働き方において、高齢者の皆さんに、多様な就業機会を提供する。シルバー人材センターには、更にその機能を発揮してもらいます。」と力強く言及しています。
さらに、政府が進める働き方改革の工程表では、高齢者の就業促進に関し、「健康づくりやフレイル対策を進めつつ、シルバー人材センターや ボランティアなど、高齢者のニーズに応じた多様な就労機会を提供する。」としています。
これら2つの施策の目的は、これまでの就業の仕方の変革にあり、働く人の視点に立ち、ワークライフバランスを確保して、健康でかつ柔軟に働き、さらに、ライフスタイルやライフステージの変化に合わせて多様な仕事の選択ができる社会づくりです。
翻ってみると、シルバー人材センターの理念は、高齢者が自らの経験と能力を活かしながら、自分なりの働き方で社会参加をしたい方に対し、地域の多様なニーズに応じた就業の機会を提供する、ことにあります。
まさに、政府の高齢者就業促進方策は、シルバー人材センターの取り組みと軌を一にするものです。
超高齢社会となった今日、シルバー人材センターには、就業や地域活動を通じて地域とのかかわりを深めつつ、就業によって地域経済への貢献度を一層高めることが求められておりますし、さらに、個々の高齢者の健康寿命を伸ばしていくことへの期待が込められています。
現状には様々の課題がありますが、より良いシルバー人材センターとなるための努力を一歩ずつ着実に進めてまいりますので、今後ともシルバー人材センターを、皆さんの仲間として、社会の一員としてご理解、ご支援いただきますようお願いします。
㊟ 平成27年度決算額 1,016百万円
平成28年度は熊本地震の影響で、前年度比85%の決算見込み。
2017年6月号掲載
公益社団法人熊本市
シルバー人材センター
理事長
西島 喜義
昭和26年熊本市生まれ。熊本大学法文学部法学科卒業。昭和51年熊本市役所入庁。介護保険、行政経営等の所管を経て平成19年企画財政局長。平成20年熊本市副市長(平成25年退任)(現職)学校法人熊本学園理事(平成25年)、アール・ブリュット(生の芸術)パートナーズ熊本会長(平成26年)、公益社団法人熊本市シルバー人材センター理事長(平成27年)
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