各界から熊本同友会会員へ向けた熱きメッセージ
イノベーションへの対応
私は、平成28年9月に故野田三郎会長の意志を受け継ぎ会長に就任しました。就任後、最優先に行った仕事は熊本地震で大きな被害を受けた会員組合や組合員企業の皆さんの復旧復興でした。【組合被害109組合被害額16.6億円、組合員被害2,749者、被害額311.7億円】その結果、多くの組合や中小企業がグループ補助金等をはじめとする各種の支援施策を活用し、復興に向けて力強く動きはじめております。【本会支援62グループ(構成数1,126者)】
しかし、旺盛な復興需要とは裏腹に人手不足感が全産業に見られるなど企業の成長発展に影響を及ぼすことが危惧されています。
さて、日本は少子高齢化、生産人口の減少といった構造的な問題に加えて、イノベーションが不足していることによる、生産性の低迷や革新的技術への投資不足が大きな課題となっています。これらを背景に政府はIoTやAIなどの技術革新によってけん引されている「第4次産業革命」を踏まえ、「人づくり革命」と「生産性革命」を二本の柱として推進していくことを打ち出しております。現在、IoTやAIなどの技術革新によって、仕事や人々の暮し方が大きく変わろうとしています。ロボットや人工知能が進化することで10~ 20年後、今、存在するさまざまな仕事が自動化され人間の仕事が奪われるのではないかと心配する声が多く聞かれます。確かに、ロボット等の進化、発達で自動化が進んで、これまで人間が行っていた様々な仕事を機械に置き換える可能性が高くなってきていますが、その一方でこれらの新しい技術を活用した新たな事業やサービスが誕生することも期待されます。
また、働き方も大きく変わります。これまでのように会社に出勤しなくてもインターネットを通じて遠隔地にいながら会議が出来たり、画像を見て病気の診断が出来たりと、時間と空間に縛られない働き方が可能になっています。このように働き方が変化し、労働人口が減っていくからこそ、IoTやAI等の新しい技術を自分なりに積極的に活用し、情報の寡占化や人口減少などといったマイナスの部分をプラスに働くようにする必要があります。
新しい技術は人を幸せにしなくては意味がありません。技術の進化・普及によって無くなる可能性が高い職業があるのも事実ですが、新たな仕事が生まれてくることもまた事実です。技術の発展を恐れるのではなく、人間がこれらを積極的に利活用することで更なるイノベーションに繋がると思います。
振り返ってみますと20年前にパソコンが普及し始めましたが、今は当たり前のようにビジネスに使っています。スマホも生まれて10年ですが、スマホを前提としたたくさんの仕事が生まれました。企業経営においても技術革新によっておとずれる急速な変化に対応することが重要です。まずは人が行う業務とロボットや人工知能が行う業務を整理する必要があります。そして、それらを使いこなし業務に対応できるように社員の教育や能力開発も必要になってきます。色々な可能性を秘めた人工知能ですが、これを扱うのはあくまでも人間です。人工知能が発達するほどコミュニケーション能力や人間ならではの能力がより一層重要になってくると思います。
最後になりますが、私ども中央会は県内唯一の中小企業連携組織の専門支援機関として中小企業の皆様に信頼されるよう、役職員一丸となって時代の変化に対応し皆様と一緒に頑張ってまいりたいと思っております。
貴同友会におかれましても会員の皆様がこれまで以上に連携を強められ、新たな事業の創出や活力を見出されることを期待しております。
2018年2月号掲載
熊本県中小企業団体中央会
会長
櫻井 一郎
- 昭和31年
- 2月18日生まれ
- 昭和56年 3月
- 法政大学法学部卒業
- 昭和56年 4月
- 有限会社櫻井工業造船所入社
- 平成 9年 5月
- 櫻井精技株式会社 代表取締役社長
- 平成11年 5月
- 協同組合八代メカトロプラザ理事長
- 平成22年 5月
- 熊本経済同友会 副代表幹事
- 平成26年12月
- 熊本県教育委員
- 平成28年 9月
- 熊本県中小企業団体中央会会長(現在)
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