一般社団法人 熊本県中小企業家同友会

特集

各界からの提言

各界から熊本同友会会員へ向けた熱きメッセージ

地震からの復旧・復興に向けて

熊本県中小企業家同友会におかれましては、日頃より中小企業のあらゆる課題の解決に取り組むと共に、豊かな国民生活の実現に向け地域経済の繁栄に御貢献をいただき、厚くお礼申し上げます。

さて、平成28年4月16日未明の熊本地震本震は甚大な被害をもたらしました。多くのメディアにも取り上げられた大規模斜面崩壊による阿蘇大橋の崩落、高野台の大規模地すべり、そして村内至る所の痛々しい山腹崩壊に加え、家屋、宅地、農地、観光施設、道路、河川にも数え切れない被害があり、何より多くの命が犠牲になったことは誠に残念でありご冥福を祈るばかりです。

当村の震災被害の特筆すべき点として、まず、東海大学阿蘇キャンパスが挙げられます。本校は、昭和55年開学以来30年以上、黒川地区にあり、農学部約1,000人の学生が学ぶ「学生村」として、賑わい活気溢れるところでした。しかし、地震により熊本キャンパスで授業が再開され、今後の方向性について検討された結果、大学敷地に断層が通る阿蘇キャンパスには、実習のための新校舎を建設し、益城町に新キャンパスを整備するという方針を大学が公表しました。

また、住宅の被害については、全壊699戸、大規模半壊187戸、半壊800戸と多くの甚大な被害を受けました。立野地域の360世帯については、阿蘇大橋や阿蘇長陽大橋の損壊により村中心部と断絶され、さらに山腹の崩壊、断水などの理由により、約1年間長期避難世帯として認定されました。平成29年10月末に長期避難世帯は解除されましたが、帰還は仮設住宅に避難した方々の4分の1程であまり進んでいない状況です。

このように当村には様々な被害がありましたが、村では震災直後から全国からの支援を受け、復旧・復興事業を進めて参りました。

特に、住宅の再建につきましては、最大時1,465世帯が仮設住宅やみなし住宅で不便な生活を余儀なくされていましたが、現在では315世帯と自立再建に向けて多くの方が歩みだされています。住宅の再建は、生活再建への最重要課題と考え、一日でも早く被災された皆さまが安心して暮せるよう住まいの確保を加速させていかなければなりません。

また、被災企業に対する取組としましては、震災後に売上げが激減した事業者を支援するため、総合オンラインストアamazonを活用し、販路拡大を実施しました。創業支援の取組については、販路開拓や店舗の新設、設備の復旧に係る費用の補助を行い、既存の保証率の補給補助に加え、融資利率を引き下げました。

事業継承に関する融資利率も同様に引き下げを実施し、産業、事業継承、雇用拡大、移住定住を推進しております。さらに、窓口相談や創業セミナー、実践創業講座などを実施し、創業しやすい環境づくりを行い創業者の支援に努めています。

震災から、三年目を迎えようとしていますが、先述したとおり当村の被害は多岐に渡り、非常に甚大であります。発災依頼全国の皆様から多大なるご支援と励ましの言葉をいただきながら復旧・復興を進めておりますが、まだまだ道半ばです。被災者の早期の生活再建実現のため、全力で取り組んで参りますので熊本県中小企業家同友会の皆様方には、様々な場面でのご協力・ご支援をよろしくお願い申し上げます。

結びに、熊本県中小企業家同友会の更なるご発展と、会員の皆さまの益々のご健勝、ご活躍を心から祈念申し上げます。


2019年2月号掲載

南阿蘇村 村長 吉良 清一

南阿蘇村 村長
吉良 清一

昭和30年5月24日生まれ。
昭和54年大阪府立大学農学部を卒業後、県内の会社に勤務。
昭和57年より本格的に就農、六次産業化や地域輿し活動に取り組む。
平成15年 旧白水村議会議員就任。
平成19年 認定農業者の会会長。
平成21年 南阿蘇村地産地消推進協議会設立(会長)。
平成24年 南阿蘇村環境保全農業推進協議会会長。
平成29年3月より第3代南阿蘇村長就任。

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