各界から熊本同友会会員へ向けた熱きメッセージ
多様性が求められる社会で
女性議員の存在は重要
「おなご(女)が選挙に出て、なんばすっとか!」
2013年1月に初めて立候補した時、山間地を遊説中にある高齢男性から言われた言葉です。あれから10年が経ち、「女性も必要だ」と言われることも多くなり、社会の意識も随分変わってきたと実感しています。
今年の統一地方選挙では熊本県も女性議員が増加しました。これまで政治は男性がするものというイメージが強かったと思います。しかし、政治は暮らしそのものであり、女性も男性も年齢も職業もさまざまな人が議員であることが、より暮らしやすくなることに繋がります。そこに人々は気づき始めたのではないか、と感じています。
くまもと女性議員の会は2022年4月に、女性ゼロ議会の解消や議員としてのスキルアップを目的として県内の現職女性議員で結成しました。現在は会員数35名で県内女性議員のほぼ半数の議員が所属しています。毎月開催しているオンラインミーティングでは新人議員の相談や、各自治体の状況、一般質問の報告など活発な意見交換が繰り広げられています。
昨年度は「女性のための政治入門塾vol.1」を開講し、受講生の中から議員も複数名誕生しました。今年度もvol.2を企画しています。まずは政治に興味を持ってもらい、自分の思いを形にする方法を知ること、誰にでもチャンスはあることを理解してほしいと思っています。
先日、県内企業の女性管理職登用が進んでいないという新聞報道がありました。企業に限らず、行政組織も同様です。世界経済フォーラムが発表した2023年のジェンダーギャップ指数は146か国中125位と、2006年の公表以来過去最低。教育分野では男女平等ですが、政治分野では最下位、経済分野でも最下位に近いスコアでした。女性議員を増やすためには「政治と暮らしは密着しているから無関心でいないこと」を伝え続け、男女の差が無く挑戦できる環境を整えることが大切なのだと思っています。
実は私は「女性○○」と言われるのには抵抗があります。若いころは生まれ変わるなら男性が良かったと思っていました。しかし今は、女性だからこそわかること、気付くこともあるのではないかと思えます。その視点や気付きを政策課題として優先順位を上げるには、女性議員の存在が重要だと考えます。
同質性からは豊かな発想や新しい取組みは生まれにくいものです。だからこそ多様性が求められ、それが社会を豊かにしていくのだと思います。
「女性」というカテゴリーではなく、多様性の中に女性も含まれているのです。
女性議員が増えることで政治のイメージが変わり、社会の柔軟性が高まることを私たちはしっかりと語り、発信していくことが大事なのではないかと考えています。
2023年12月号掲載
山鹿市議会議長
くまもと女性議員の会会長服部 香代
1962年山鹿市生まれ
熊本音楽短大卒。音楽療法士。
2013年2月、山鹿市議会議員初当選。3期目の2021年3月、第5代議長就任。
くまもと女性議員の会会長、女性ネットワークやまが顧問、鹿本高校同窓会副会長、鹿本准看護学校講師。
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