各界から熊本同友会会員へ向けた熱きメッセージ
弁護士の活用法
本年4月、熊本県弁護士会長に就任いたしました、猿渡健司(さわたり けんし)と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
商取引などで契約書を作りますが何のためでしょうか。契約書は、後日紛争が起こった場合に、契約内容がどうだったかを証明するためのものです。したがって、取引の内容に応じて必要な事項を過不足なく記載しておくことが重要になります。
では、どのようにして契約書を作成すればいいのでしょうか。契約書の書式を載せた本をお手本に作成することで十分な場合もあります。しかし、書式の中には、法律用語をさりげなく使用しているものもあります。法律用語は日常用語と同じようでいて、それ特有の法律上の意味を付されているものもあるので注意が必要です。
たとえば、法律用語で「人」という用語は、人間と会社などの法人を合わせた意味です。法律用語で、特に人間のことをいうときは「自然人」といいます。
契約書に「人を代理人にしてよい」という条項を設けたとすると、その代理人には、自然人も法人もなれることになります。代理人になるのは自然人だけだと想定してこの契約書を作成していたとしたら、後日、紛争になった場合に、法人を代理人にしてはいけない、という主張ができなくなる可能性が大です。このような事態に陥らないために、弁護士に相談してください。
弁護士会では、ひまわりほっとダイヤルというサービスを行っています。ひまわりほっとダイヤルの全国共通電話番号(0570-001-240)に電話をすると、電話をかけられた方がいらっしゃる地域の弁護士会の専用窓口につながり、弁護士から折り返しの電話がかかってきて、弁護士との面談の予約ができます。また、ひまわりほっとダイヤルのホームページから申し込みフォームを使って面談の申込をすることもできます。現在のところ、ひまわりほっとダイヤルは、熊本県においては初回面談30分は無料となっており、対応する弁護士は、中小企業の法律問題に精通した弁護士です。
このほか各種の法律相談については、弁護士会法律相談センター(096-325-0009)の法律相談をご利用ください。
もうひとつ、上記のような方法で弁護士に相談し、案件の処理を依頼して、その弁護士の働きぶりを評価された場合は、その弁護士を顧問弁護士にするのもよいと思います。顧問弁護士の利点は、それまでの相談や案件の処理を通じて、依頼される方や会社の事情をよく理解していることです。つまり、顧問弁護士には、一から説明する必要がなくなり、さらに、利用すればするほど、いわゆる使い勝手がよくなると思います。
また、相談や案件の処理を数件やってもらってからというより、最初から顧問弁護士を依頼したい、でも弁護士に知り合いがいないという方は、熊本県弁護士会の顧問弁護士紹介制度をご活用ください。
熊本県弁護士会法律相談センター(096-325-0009)に電話をかけて、顧問弁護士を紹介してもらいたいと申し込まれると、弁護士会が数名の弁護士を紹介します。そのなかから、ピンとくる弁護士を選んでください。
転ばぬ先の杖、という言葉もあります。トラブルになる前に弁護士を活用してトラブルの予防を心がけてください。
2018年6月号掲載
熊本県弁護士会
会長
猿渡 健司
昭和33年、熊本市生まれ。熊本高校、早稲田大学法学部卒業。平成9年4月弁護士登録。平成30年4月より県弁護士会会長。趣味は、音楽(トランペット演奏)。
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